代わって tvや新聞雑誌の通販が、「あなたは老けている」「惚けている」「臭い」「手足が衰えてませんか」と様々な指標を挙げ脅かす。不安を煽って薬もどきを「今なら半額」と売りつけ、「これを一日3粒飲めばこの通り」と繰り返し責めたて「藁」を掴ませる。掴かませているのは明らかに藁に過ぎないのに、通販の司会者は救世主じみた甲高い声で、効能紹介に自己陶酔。そんなチャンネルが同時に幾つも展開する。しかも4Kの高画質。
国民の電波や資源がテキ屋同然のたたき売りに浪費され、政治経済社会の諸問題は排除。却ってnhkにチャンネルを減らせと政府は迫る。世は末である。
分けても認知症の不安は、人々をオロオロさせる。これとこれが出来なければ、あなたは危ないと教える認知症スケールが幾つもある。中でも長谷川式は権威があると信じられてきた。では長谷川式認知症スケールは、どのようなものか。
1 お歳はいくつですか? (2年までの誤差は正解)
2 今日は何年何月何日ですか? 何曜日ですか?(年月日、曜日が正解でそれぞれ1点ずつ)
3 私たちがいまいるところはどこですか?(自発的にでれば 2 点、5 秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?のなかから正しい選択をすれば1点)
4 これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。 (以下の系列のいずれか1つで, 採用した系列に○印をつけておく)1: a)桜 b)猫 c)電車、 2: a)梅 b)犬 c)自動車
5 100から7を順番に引いてください。(100-7 は?、それからまた 7 を引くと? と質問する。最初の答えが不正解の場合、打ち切る)
6 私がこれから言う数字を逆から言ってください。(6-8-2、3-5-2-9 を逆に言ってもらう、3 桁逆唱に失敗したら、打ち切る)
7 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。(自発的に回答があれば各 2 点、もし回答がない場合以下のヒントを与え正解であれば 1 点)
8 これから5つの品物を見せます。それを隠しますのでなにがあったか言ってください。 (時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なもの)
9 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。(答えた野菜の名前を右欄に記入する。途中で詰まり、約10 秒間待っても出ない場合には そこで打ち切る)
精神科医・長谷川和夫氏は、(認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長で聖マリアンナ医科大学名誉教授) 2018年、自らが認知症であることを告白した人である。彼自身こう言っている。
「恩師から、診断がぶれないように、物差しを作りなさいと言われた。ただ、この検査は直接的には本人のためにはならない。医師の診断のレベルを統一するためだからね。人をばかにしたような失礼な質問だと自覚して、「お願いする」というスタンスでやらないといけない」
作った本人が、これは失敬な質問だと言う代物だ。「医師の診断のレベルを統一するための指標で人を馬鹿扱い」するほうが狂気ではないか、精神科医。あんたが狂っているのだ。
教師の授業の出来を検証するための「中間テスト」で、生徒を馬鹿扱いする教育も狂っている。
歳とれば誰だって目はかすむ、耳は遠くなる、息切れはする、物覚えは悪くなる、皺だらけで、歯は抜ける。何時までも「藁」くずで若いつもりにさせられたのでは、体にも精神にもヒビが入る。歳相応の肉体を受け入れる、それが人の尊厳である。
僕の妻は若い頃から、髪が白かった。あちこちで染めろと責められたが、頑として受け付けなかった。僕は金髪も碧の黒髪も赤毛も白髪も丸坊主も、それぞれ美しいと思う。 外国に行けば、見知らぬ人がすれ違いざまに「beautiful」と笑顔で妻に語りかけるのだ。
日本では美容院や学校でさえ、染めろと煩い。