「バイク・メカニック」の少年とその弟

 近所に障害児を積極的に受け入れている私立小中学校がある。校名も目立たないし派手な宣伝もしていない。

バス乗客の多様性は学校にも不可欠
 以下は、三鷹までバス通勤していた妻から度々聞いた光景。
 毎朝途中から乗り合わせる少年が、窓に張り付いて「バイク!・メカニック!」等と沿道の仮名書きの看板を大声で読む。雨の日も風の日も。知的障害があるらしく、弟が何時も付き添って面倒を見ていた。ある日、二人はバス停に遅れて、走っていたがバスに追い抜かれた。懸命に走り、バスは停留所で少し待って二人は息を切らして乗ってきた。妻が二人に「よかったね、間に合って」と語り賭けると弟がにっこり笑って「はい! 助かりました」と答えたが、兄はいつものように窓にすがりついて「バイク!・メカニック!」に夢中。                  

 その学校のhome page。

 「本校では健常な生徒と自閉傾向のある生徒が、共に学校生活を送っています。
健常児は高校受験に向けて、自閉症児は社会自立に向けた学習に励むという、それぞれに異なったベクトルはありますが、日々の学校生活で共にできる活動や行事などの活動は一緒にします。
 一時的な交流ではわからない、互いの良さや特性。個性を受け止められれば、その人なりへの心配りができ、仲間という意識が自然と生まれます。・・・混合教育は健常な生徒にも自閉傾向のある生徒にも学び合いがあり、お互いが刺激を受け合うものです。そして、双方に恩恵があり、人間として心豊かに生きる素地を培って行けるのが、とても大きなメリットです。 今わが国に限らず広く世界の教育界では、健常な人と障害ある人が共に生きる社会(共生社会)の実現に向けて、「インクルーシブ教育」の推進が叫ばれています。・・・」

 受験関係のサイトでその中学校の入学時「偏差値」を見れば、とても低い。しかし付設の高校は無いから、一般の公立中学生に混じって様々な高校を受験をする。その進学先の一覧がその中学校のhome pageにある。国立大学付属や私立・都立の名門高が目白押し。
 選別して生徒の「偏差値」を揃え、教育を受験先に合わせて特化・競争する事の馬鹿馬鹿しさを思う。

  ミヒャエル・エンデが学んだシュタイナー学校は卒業生に学者や芸術家が多いが、設立当初は教育方針が理解されず運営は困難を極めたと聞く。しかし困難は学園を鍛え、今や世界に1000校以上。
 この統合教育を掲げる学校も運営が困難になった時期があったと記憶している。
  社会の実態を反映した多様性が、少年の理性と感性を育み鍛える。コスタリカの生態系の豊かさが、昆虫の驚異的な進化を促進すると同時に、政治社会的豊かさに現れるように。
 

 

もし、君の庭が貴金属だらけになったら

   夢のような幸運、たった一掴みでどんな贅沢も思いのままだ。ひとかけらの土も糞や汚物もない。大リーグ「大谷」の幸運は、さしずめプラチナか巨大なルビー相当だろうか。プロゴルフも競艇も競馬も囲碁将棋gamerもオリンピックplayerもその稼ぎ高が、画面や紙面を賑わす。それにつられ...