デンマークは、6歳まで子供に読み書き・そろばんを教えない。遊びが社会性や集団、自由、責任の意識を育てる。義務教育では試験も通知表もない、高校、大学、専門学校には、入学試験も、入学金も、授業料も必要ない。だから教育に熟や受験産業などの商業主義や「偏差値」が巣食う事もない。
高校、大学などを卒業しても「資格」はない、だから職業は各自が「自由」に選択する。学校歴や部活歴が、入学や就職に影響しない事こそ「自由」なのだ。わが国では学校歴や各種コネなどに拘束されることを「特権」として有難がる、そんな国が自由主義を論じる資格はない。 適性は、実際に大学や仕事の現場に出て初めて、適しているかどうかが問われる。卒業が資格を伴わないからこそ、どんな人間でも、あらゆる学問や職業に挑戦する必要があるし、挑戦できる。
高校を終えると若者は大学に直行する事はない。ゆっくり自分と世界を観察する。例えば熱帯雨林の現状を知るために、一人でボルネオやブラジルの奥地を探索するのも厭わない。何が向いているのか、何ができるのか考え試す。そして大学を選ぶ。
おそらくこれらの全てが日本の若者の政治的未熟=投票率の低迷とデモやストの少なさを招いている。日本の学校は若者が決意しないですむようしないよう「指導」しているし、世界断トツの長時間通勤通学ラッシュは、日本人の思考停止を日常化している。
デンマークの教育指数は0.993
2007年の教育指数
1 ニュージーランド0.993
1 フィンランド 0.993
1 デンマーク 0.993
1 オーストラリア 0.993
1 キューバ 0.993
6 カナダ 0.991
7 ノルウェー 0.989
8 韓国 0.988
9 アイルランド 0.985
35 日本 0.949
教育指数とは、国連開発計画が毎年発表する指数の一つ。標準化されたアチーブメントテストの結果得られた教育年齢を暦年齢で割り、それに100を掛けた数値。年齢の割に学習が進んでいるかどうかを示している。トップに並ぶのはいずれも「小国」である。日本の1/20程度の人口、狭い国土。
教育指数世界1位のデンマークは、「国民の幸福度」も世界1位。誰もが挑戦できる市民社会を目指している。「失敗しても何度もやりなおせる社会」と言える。「負け組」と言う言葉が子どもも親も恐怖に落とし込む「失敗を許さない日本」がメダルの数しか誇れない国として世界に軽視される日が来る。
1911(明治44)年10月22日の公演『デンマルク国の話 信仰と樹木とをもって国を救いし話』で内村鑑三はこう話した。
「・・・デンマークは欧州北部の一小邦であります。その面積は朝鮮と台湾とを除いた日本帝国の十分の一でありまして、わが北海道の半分に当り、九州の一島に当らない国であります。その人口は二百五十万でありまして、日本の二十分の一であります。実に取るに足りないような小国でありますが、しかしこの国について多くの面白い話があります。
今、単に経済上より観察を下しまして、この小国のけっして侮あなどるべからざる国であることがわかります。この国の面積と人口とはとてもわが日本国に及びませんが、しかし富の程度にいたりましてははるかに日本以上であります。その一例を挙あげますれば日本国の二十分の一の人口を有するデンマーク国は日本の二分の一の外国貿易をもつのであります。すなわちデンマーク人一人の外国貿易の高は日本人一人の十倍に当るのであります。もってその富の程度がわかります。ある人のいいまするに、デンマーク人はたぶん世界のなかでもっとも富んだる民であるだろうとのことであります。すなわちデンマーク人一人の有する富はドイツ人または英国人または米国人一人の有する富よりも多いのであります。実に驚くべきことではありませんか。
しからばデンマーク人はどうしてこの富を得たかと問いまするに、それは彼らが国外に多くの領地をもっているからではありません・・・」
我々の最大の不幸は教育指数の低さが霞が関と永田町に凝縮して現れている事だ。デンマークなどでは閣僚も自転車通勤する。