クラブは教育の一環ではない

 「スポーツ体罰死を克服できない日本に、olympic開催の資格はない」

   宝塚市立中学柔道部顧問教師が、「部活動」で生徒2人に重軽傷を負わせ、「指導の範疇をはるかに超えた。体罰とすら呼べない」として懲戒免職になった。暴行傍観の副顧問も減給処分。

 驚くべきは、体罰や傷害で教職員が免職となるのは異例であることだ。この男は生徒がアイスキャンディーを食べたことに立腹。投げ技や寝技で背骨を折る重傷を負わせた。過去にも体罰を3度繰り返し、減給などの懲戒処分を受けていた。男は「最初は厳しめの指導と思っていたが、大変なことをやってしまった」と反省しているという。だが、免職処分がなければ「指導の一貫」と居直っていた可能性を否定できない。県教委は指導監督が不十分だったとして、校長も戒告処分。宝塚市長は「一歩間違えば生徒を死に至らしめた事件。厳しい結果は当然」と語っている。

   同じ兵庫県の神戸高塚高校校門圧死事件から30年経って、も体罰依存の「部活」構造は硬い。

 そんな国が、オリンピックに浮かれる資格はない。iocも「中高生のスポーツの体罰死を克服できない日本に、olympic開催の資格はない」と言う資格がない。利権太りの「スポーツ貴族」体制自体が、スポーツマンシップに程遠いからだ。 そもそも一体彼らはどのように選ばれているのか、そんな組織が一国の財政に平然と手を突っ込む事が許されるのは何故か。世界中が問うこともない、怪しさ漂う「聖域」である。

 校門圧死事件当時の兵庫県高校生徒指導協議会は、「校門」立番を高く評価していた。文科省の学校安全「研究指定校」でもあった。だからだろう、現場に付着した被害生徒の血痕は、警察到着以前に学校が流し去っていた。教育行政の「安全」意識が生徒の日常に向けられることはない。

 あれから30年も経って、ようやく「体罰による免職」という現実が示しているのは、30年もの間体罰死は「熱心さのあまり」の「指導の一貫」として処置してきたことに尽きる。  殺人を「処置(弾薬も食料も尽きた戦場で、動けなくなった兵を殺す命令をそう呼んだ)」と呼ぶ習わしは、旧帝国陸軍が蔓延させたものである。

  殺人教諭は懲戒免職、校長を戒告、教頭と教育長を訓告、教育次長2名を厳重注意、校門を閉めようと言い出した教員や生活指導部長に対しては処分は無かった。
 殺人元教諭は、有罪確定直後「警察的な校門指導を正義」と自著に書いた。皇軍から連綿と続く「犯罪を言葉で言い逃れる」「日本の麗しい」この伝統は、前首相の言行にも引き継がれている。

 そもそもクラブは学校教育の一環ではない。明治の日本人は倶楽部と書いた。教員も少年も対等の立場で「play」を楽しむ余暇活動である。中学生も街の叔父さんも校長もスポーツ愛好家として対等だから、体罰やパワハラがあれば告発も退会勧告もできる。加入も退会も自由である。
  
教育行政はこの自由と平等が嫌いだ。年代を貫く自由と平等は、地域活動を通して連帯と民主主義の精神と行動を養わずにはおれないのだ。

旧制弘前中生のストライキ

 旧制中学生や旧制高校生が、社会問題に関心を持ちストライキを組織した自治の「伝統」から少年/少女を隔離する手立てとしては「部活」ほど手軽で硬い物はない。1973~2001まで続いた高校の必修クラブ制度は、高校生から自治の精神打ち砕いた。上級学校への推薦制度につられて、自ら進んで体罰・パワハラ地獄に365日朝から晩まで熱中するのだから。


 満州事変の1931年、『東奥日報』は「弘前中学四五年生徒 全ストライキ」と三段抜きで報じている。生徒300人が、教師の体罰に抗して嶽温泉に籠城したのである。

 この嶽のストライキ「決議」は「弘前中学校当局の教育方針を見るに只欺瞞と矛盾と暴力である故に我等はその非なることを和平的態度を以て再三それとなく指摘して三省あらんことを求めた然し三省は愚か我等に対する当局の態度はますます激しくなるのみにして一つとして教育の根本的精神即ち人格を養成する教育は行はずここに於て我等は・・・時代錯誤的な教育精神を打破し弘中百年の禍根を断つべく」と続き、最後に葛原校長と長谷川、立石教諭の二人の辞職を要求している。教師の暴力が発端であることがわかる。

  奈良県では女子小学生までが教師の教授不熱心に抗議、同盟休校している。  

 選挙権を持つ高校生が体罰で殺される事件が絶えないのに、ストライキやデモも無い事に大人は危機感を持たねばならない。 

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