何故欧米では、個人が自立して権力や組織に対して堂々と発言出来るのか? 父が子に躾けるべきは、忖度が最も卑しい行為と諭すことと言われるのか。
忖度は日本の新聞とtv番組の名物となった。何故報道を装ったバラエティ番組では、芸を失いそうな人物が広告代理店や政権にすり寄るのか。tvショッピングで恥ずかしく惨めなコメントと姿を曝すのか・・・。
例えば合州国には、SAG-AFTRA(Screen Actors Guild - American Federation of Television and Radio Artists)「テレビ・ラジオ芸能人と映画俳優労組」がある。組合員16万人、劇場やテレビはSAG-AFTRAと労働協約を結ばなければならない。それゆえ、強大な映画会社やTV局とも対等に交渉できるから、俳優らの生活・権利が向上し自由な政権批判も可能となる。
そればかりではない、吉本のような芸能事務所が巨大な支配力を持たないよう、その機能は法的に分離制限されている。「マネージャー」業務(タレントのスケジュール管理や世話)、「エージェント」業務(仕事斡旋や契約)、「プロダクション」業務(企画・制作)は一つの組織で独占出来ない。
俳優労働組合がないのは、主要国では日本だけ。海外各国には複数の俳優労組がある。 日本には「日俳連」約2,600名が加入する組織があるが、労組とは言い難い。日本の俳優は個人事業主と見做されTV局や制作者と対等に出演契約を結ぶことは難しいからだ。最低賃金さえないに等しい。契約書もないまま撮影が進んでしまう。団交も争議もできないからだ。
9万5千人の芸能人が所属した日本唯一の芸能人向け年金制度業界団体が潰れたのは2009年、36年間運営して解散した。これも自由化政策がもたらした改悪によるもの。
しかし労災保険法改正が実現、 2021年4月から芸能人にも労災保険が適用される。言葉の正しい意味での法律の「改正」は長い間なかった。自由化や国際化問う名目で公然と「改悪」「後退」が画策・強行されてきた。去年の労働者協同組合法成立とともに明るい出来事と言える。
いわゆる芸能人は、番組や作品で酷い労働環境に曝され続けてきた。性格の弱い芸人を虐め笑いものにする番組さえ作られたのだから、日本の俳優たちの労働環境は狂っている。その劣悪な環境でのし上がった「芸能人」をTVは多用して、政権に忖度している。政権党から立候補する芸人もいる。
彼らが欧米の俳優たちように、報道機関のように誇り高く立ち上がるのはいつの日か。
今我々が危惧しなれればならないのは、日本の教師も労働組合のない状況に置かれている事だ。まともな国で教員にスト権も断交権もないのも日本だけ。おかげで教員は権利や生活のために権力に忖度する事を考え、人間らしい感覚を失っている。
良心に基づいた授業や指導が「孤立」し勝ち。生徒や父母に背を向け、主幹教諭や主任教諭に逃げる始末だ。
演劇も教養も忘れた電通御用吉本芸人やtvショッピングタレント並みになってはいないか。誇りを取り戻さねば、早晩教育者とは呼ばれなくなるだろう。
日本のTV局や新聞社が政権や広告代理店に忖度して取材しないスキャンダルも、欧米メディアは警察の制止を振り切って堂々と取材する。彼らの取材もその国の労働組合が守るのだ。
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