権力批判や公正さは何処で消えるのか。

   「ポッカレモン」社がレモン果汁が含まれているかのような宣伝をしながら、中身は100%化学合成品であることを、「暮らしの手帖」が1967年の89号でスクープ。大騒ぎとなった。

コマーシャリズムを排除
し続けた「暮らしの手帖」
  マスコミは、次から次へと他の不当表示も報道し始める。砂糖を使ったはちみつ、粉乳を還元した新鮮牛乳、マーガリンを混入したバター、醸造酢と表示した合成酢、リンゴを混ぜたいちごジャム、オリーブ油を使わないオリーブ石鹸、天然真珠という人造真珠、着色した宝石、背の伸びない伸長機など、次々に事例が報道され、不当表示問題は社会問題化した。しかし責任企業の処分は大甘だった。

 40年後の2008年12月5日、公正取引委員会が「不当景品類及び不当表示防止法」に基づく排除命令を、再びポッカ社に出さねばならなくなる。排除命令の内容は、同社が販売した「ポッカレモン100」等において表示が事実と異なり、一般の消費者に対し実際よりも著しく優良であるとの誤認を招くとするものであった。「ポッカレモン」には「新鮮なレモンのビン詰」、「飲むレモン」、「手軽に使えるレモン以上のレモン」と広告、いかにも天然レモン果汁であるかのように表示。実際にはクエン酸などを使った「レモンもどき」であった。又、同社は原料レモン生果に防カビ剤は使用していない旨の表示を行っていたが、実際には防カビ剤イマザリルが含まれていた。

 同様の不当表示をしていた有力10社にも排除命令が出た。

 ポッカ社ら有力10社は、全国紙に月2~3回全ページ広告。テレビ・雑誌等にカラー広告を活発に用いて、レモン果汁飲料を誤認させる文章や画像をばらまき続けた。

 新聞やTV報道の第一の役割は、真実の追究による権力への批判の筈。巨大企業も権力。その広告を垂れ流した責任を負わねばならない。


 「暮らしの手帖」に始まった騒動に、行政もメーカーもマスコミも何ら反省はなかったことが分かる。

 今や、私企業のTVshoping が日本の電波を占拠。ほぼ一日中国民の健康や老化不安を煽り、怪しい商品を怪しい口調でtvタレントを使って流す有様。電波も国民の共有財産ではないのか。「公」が「民営化」の名の下に私物化されている。「国立」「公立」とは、「国民共有」「自治体共有」の意の筈。それが「行政法人化」の名で、私物化されているだ。そして国家や自治体そのものまで、「パソナ」などの私企業に私物化されてしまった。 

 日の丸・君が代を巡る行政の不当介入で教師が馘首されているのに比べれば、「不当景品類及び不当表示防止法」はまことに恐るべき「ざる法」と言わざるを得ない。当該企業の営業停止・重い罰金や責任者の収監等の実効性ある対策に日本の官庁は踏み切らない。なぜならそこは、彼ら官僚の将来の天下り先だからである。 

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