生徒や学生は、職員会議や教授会に「質問主意書」の類いぐらいは出す権利がある

   日本学生支援機構の運営評議会委員であり、文部科学省の有識者会議「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」の委員でもある前原金一前経済同友会専務理事が、平成二十六年五月二十六日の上記検討会で、奨学金の返済を滞納している者について、「現業を持っている警察庁とか、消防庁とか、防衛省などに頼んで、一年とか二年のインターンシップをやってもらえば、就職というのはかなりよくなる。防衛省は、考えてもいいと言っています。」との発言をしています。

 この発言に対して、軍に入隊すれば国防総省が奨学金の返済を肩代わりする制度のある米国のように、我が国も奨学金の返済が出来なくなった貧困層の若者が兵士にならざるを得なくなる「経済的徴兵制」につながるのではないかという批判が起こっています。

 そこで、以下質問します。

一 上記の通り、前原氏は「防衛省は考えてもいいと言っています。」と発言していますが、この発言通り、防衛省において、奨学金滞納者をインターンで受け入れることを検討している事実はあるのか伺います。

二 また、文部科学省並びに日本学生支援機構において奨学金の滞納者で無職の者を現業のある警察庁、消防庁、防衛省でインターンさせることを検討しているのか伺います。

三 米国のように自衛隊に入隊すれば奨学金の返済を肩代わりする制度を導入する可能性はあるのか、それとも、このような制度の導入については検討自体行わないのか、政府の見解を伺います。

 右質問する。


 これは2015年ある代議士が内閣に送った質問文書。国会法は第74条で、国会議員が内閣に対し質問する権利を定めている。 内閣はこれに対し7日間以内に内閣総理大臣名で答弁しなければならない。

  内閣の答弁書を読みたくとも、衆議院のホームページから検索出来ない。参議院は古くとも検索可能。

 もしこれが通常国会中の政府と議員の討議であれば、NHKTV中継で広く若者や学生と親たちの関心を集めたに違いない。

 政府に対する質問と答弁は議員の特権ではない。国民の権利を代行しているに過ぎない。従って少数党派への時間制限や中継打ち切りは以ての外。プロ野球中継などは頼みもしないのに延長する。playに過ぎないスポーツの麻薬的興奮が政治を見えなくしている事に怒る事も出来ない日本のmediaは「I」=主我ある主体とは言えない。

  

 学校の生徒や学生は、職員会議や教授会に「質問主意書」の類いを出す権利があると僕は思う。その為には、何より「I」=主我 が必要だ。主権者意識は「I」=主我あって初めて自覚される。日本の中高生は他者に規定された「me」=客我になりやすい。自分自身ではない所属学校や部活のランキングに魂を抜かれてしまう。偏差値も部活も営利企業のつくる楼閣、巨大な空洞だ、天皇制に似て中身は何もない。

 まともな国では、学校や教育行政に父母・生徒・学生・住民が直接関与するシステムがある。

 たとえば、フランスやイタリアの高等学校では、学校評議会が学校内の最高決定機関であることが、法律で定められている。その構成員は、行政・事務代表・教員代表・親の代表・高校生の代表・地域の代表からなっており、教員会議も教員代表を選ぶ下部組織である点では高校生と同じ。

 カリキュラム編成・高校生の処分の他、学校予算・決算も学校評議会の権限である。(フランスの制度は1989年のジョスパン法によってさらに前進、後述するがこの前進は、フランスの高校生が自ら闘いとったものである。)


 「「I」=主我」の無さにおいて、日本の教師は群を抜いている。職員会議では多数決すら禁じられ、「上意下達」の一方通行。生徒の前で教育行政の「上意」を伝えるだけなら、そこに教育は成立しない。あるのは調教、という点では封建時代へ逆行している。大河ドラマの類いは国民を 「me」=客我の世界に引き摺り込んでいる。


 「質問主意書」の類いの権利を、少なくとも自分のクラスで実践してみるのはどうだ。職員会議の議題を公開してみるだけでもいい。無論風当たりは弱い筈はない。そうする事でしか我々は「I」=主我を確立できないように思う。互いに

仏の街頭行動では高校生と教師の共闘は日常的
「me」=客我同士では、操り人形同士が向き合っているが如き。言葉までも分断されたまま。憎み合いが仕組まれて互いに消耗して潰える。生徒・教員ともに主体的「人間」であってこそ理解が可能。共闘は相互理解があって初めて成り立つ。


   冒頭の質問主意書を提出したある代議士は初鹿明博  彼の経歴は面白い。大学卒業後は自民党代議士秘書、1997年都議選に旧民主党公認で出馬するが、次点で落選その後鳩山由紀夫秘書。2001年都議選には民主党公認で当選し、2009年まで都議。2009年衆院選に民主党公認で当選。

 これからが面白い、2011年には衆議院の「オリンピック及びパラリンピック招致に関する決議案」採決において党の方針に反し反対。消費増税法案の採決でも、党の賛成方針に反対票を投じ、党員資格停止2カ月の処分。民主党に離党届を提出、みどりの風へ入党。次期総選挙で落選。

 2014年維新の党に関わり当選するが、共産党や社民党との共闘による「リベラル勢力の結集」を目指し大阪維新と対立。2017年立憲民主党設立当選後、女性問題が発覚し辞職している。(スキャンダルに塗れた議員が党派離脱でお茶を濁す中、潔がいい。)

 これを定見のない輩と見る向きもあろうが、政界自身が離合集散を繰り返す中逆に筋を通した「I」=主我の人物なのかも知れない。彼のtwtterは一見の価値はある。


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