18歳は投票するだけか。法をつくりそれを行政や学校に 守らせる主体でもある。それが主権者であるということだ。 |
① 表現の自由 生徒には新聞、出版物を通じてする発言、生徒会で直接する発言の自由が保障される。
② 外見の自由 生徒は、健康・安全・清潔を侵さない限り、頭髪と服装の自由が保障される。
③ 校外での行動 校外で何か罪を犯して逮捕されても、それを理由に退学・停学になったり、登校を拒否されることはない。妊娠した場合も同様。
④ 法の遵守 各学校は、この学生権利法に準拠して校則を決めなければならない。
これは、1974年にアメリカ、マサチューセッツ州で成立した「学生権利法」(Right and responsibilities of public secondary school student)と通称される正規の法律である。わずか4条で構成されている。
注目すべきは、これが高校生自ら非行や麻薬・暴力で荒れる高校をたてなおすために、まとめあげたものだという点である。高校生はまとめ上げた法案を議会に持ち込んで議員を説得、議員たちが取り上げ審議して可決したのである。その州法に学校運営は拘束されることになった。憲法も法律も、人々を縛るものではない。権力を行政をコントロールする、民衆の武器でなければならない。
「みんなの努力でお互の幸福と繁栄とをもたらすようにするのが、政治の最高の目標である。・・・それが民主羊義である」(注)とすれば、荒廃した自分たちの学校を再建しようと才能や長所を発揮し、高校生たちの幸福を実現する行為は、民主主義の学習であると同時に実践である。
「民主主義は、本で読んでわかっただけでは役に託たない。・・・人間の生活の中に実現された民主主義のみが、ほんとうの民主主義なのだからである」(注)
注目すべき点はまだある。高校生たちの討論が組織されたのは、1972年。州法として成立したのは1974年であることだ。Massachusetts州だけではなく、現在ほとんどの州に同様の州法がある。
我が国では、たかが靴下の色や刺繍をかえるのに三年以上かかったりする。これを「民主主義は時間がかかる」と言って賞賛する向きもあるが、かえって「民主主義に期待しない」層を増やしてしまう。それは投票率の低さに表れている。 つづく
(注)1948年から1949年にかけて当時の文部省が、高校一年生に向けて発行した教科書「民主主義」から引用した。敗戦直後の文部官僚の姿勢は、現在の文科省からは想像だに出来ないほど進歩的であった。
(Right and responsibilities of public secondary school student)の州政府によ解説はここにある。
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