Playerは政権の道具ではない、一個の政治的主体である

個人や一国家の為ではなく、皆の平等の為に
 サッカー女子W杯米国代表が、優勝前からトランプ米大統領と舌戦を繰り広げ注目を集めていた。トランプ政権に批判的な主将のミーガン・ラピノーが、優勝しても「ホワイトハウスには行かない」と表明。ラピノー発言に激怒したトランプは「勝っても負けてもホワイトハウスに招待してやる。国やホワイトハウス、国旗に敬意を払うべきだ」と攻撃した。

 同性愛を公言し、人種差別に抗議する黒人playerにいち早く賛同したラピノーは、米社会の分断を煽るトランプへの不快感を隠さない。チーム仲間も「弱者に厳しいトランプ政権は支持できない」と加勢している。

 女子W杯米国代表28人は3月、男子playerとの賃金格差は
性差別だとして、米国サッカー連盟を提訴した。賃金のほか、試合会場や渡航手段などで格差の是正を求めている。
 世界一のタイトルをつかんで帰国したラピノー主将は8日、「私たちはホワイトハウスに行きたくない。だから招待も受けていないのだと思う・・・彼(トランプ大統領)は郵送したかもしれないけれど、私たちにはなかなか届かない。」と改めて考えに変わりがないことを表明した。
 その一方、ラピノーは民主党上院院内総務からの招待には応じる旨明らかにしている。

   米国代表とその仲間が示したのは、playerはどんな事があっても政権の道具にはならないという決意である。彼女たちも一個の政治的主体なのである。
 米国代表は過去のW杯で3度優勝、世界ランキング1位だという。その栄光は彼女たちの生き方によって、1968年メキシコオリンピックで米国の人種差別に抗議して黒い拳を揚げてメダルを剥奪されたジョン・カーロスらとともに永久に記憶されることになる。

 日本のplayerたちが、皇室からの招待を受けても「天皇メッセージを謝罪しない人たちに祝福されたくない」と言う日が来るだろうか。首相官邸の祝賀を「辺野古埋め立てを続ける政権を恥じています」と言って断るplayerが出て初めて日本のスポーツは、世界標準になる。
 「大学紛争」当時、常に体育会は大学当局の手段と化していた。ところが運動系のあるクラブが、ベトナム反戦の学内集会に参加してきたのである、長く暗い闘争の日々に陽がさした気分になった。


 僕はW杯優勝した彼女たちが、男子選手との賃金差別を無くすだけの視点から、全ての人間の平等な待遇を志向するようになるのを信じたい。なぜなら差別に反対するplayerたちは、男子playerとの平等を公正なplayの中で学んでいる。公正を目指す共同体や地域社会に生きる者はすべて、平等なplayerである事も知る筈である。そこにsportsの社会的意義と可能性はある。

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