君が代強制は公立学校教師だけに留まる問題か

 「今日、進化という問題をとりあげて、それを公立学校で教えるのは罪であるとすることができたなら、明日には、私立学校で教えるのも罪とすることができるでしょうし、来年には、選挙演説で話題にしたり教会で教えるのを罪とすることもできるでしょう。そして次には、本と新聞を禁じることになるかもしれません。・・・無知と狂信はつねに活動し、餌を必要としています。一度味をしめれば、もっと欲しがるものです。今日のところは公立学校の教師ですが、明日になれば今度は私立学校です。その次の日になったら、牧師に説教師に雑誌、本、新聞です。裁判長閣下、しばらくすると今度は、人間と人間、宗派と宗派が敵対する番です。それは・・・偏狭な人間たちが、人類に知識と啓発と文化をもたらそうとした人間を火刑に処した16世紀に逆戻りするまで続くでしょう」クラレンス・ダロウ弁護士(1925年進化論を公立学校で禁じる法律を成立させた米テネシー州対スコーブス裁判最終弁論)

  アメリカ自由人権協会(ACLU)は進化論教育を禁じる法律を裁判にもっていくために、進化論を実際に公立学校で教えて逮捕される志願者を広告で募集した。そして実際に進化論を教えて逮捕されたのがレイ・セントラル高校の教師ジョン・スコープスである。スコープスは有罪となり、罰金100ドルが科せられた。裁判自体は、ダロウが反進化論側に神が実際に6日間で世界を創造したわけではないかも知れないと認めさせたことから、ダロウの勝ちとなった。だが、ダロウが罰金額に対して異議を唱えなかったために、裁判自体がないものとされてしまった。裁判による法律の廃止を狙ったACLUの思惑はくずれてしまう。結局1967年にこの法律の廃止が決定されるまで、40年以上もの間、反進化論法が存続した。しかし、自由人権協会(ACLU)の積極的闘争性は羨ましい。



  教員が君が代を唄いたくなければ、私立に行けとという輩は学校管理職や議員にも多い。つまり逃げれば済む個人的な問題と考えている。生徒や親の中にもいる。

 クラレンス・ダロウの弁論は、この「日の丸・君が代」問題の本質をも貫いて、憲法を変えて行き着く先の、ある局面を教えている。「人類に知識と啓発と文化をもたらそうとした人間を火刑に処した」に当たるのは、大逆事件であろう。

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