便利さは、人間や組織の能力だけでなく倫理も破壊する

分析を外部に依存する政府の元で成長は絶望
 危険な金融商品売買を支えているのは信用格付け会社であると、米上院ウォーレン上院議員が連邦政府の証券取引委員会=SECに警告を発している。ゴールドマンサックス社が引き起こした金融メルトダウンの犯人は,、信用格付け会社である事は米議会が既に指摘していた。その犯人信用格付け会社を監督するのが、連邦政府証券取引委員会。それが規制をサボっているのである。

 その信用格付け会社の格付けが高いというだけで怪しげな金融商品を買い漁る日本の金融機関を日本の行政は放置している。銀行に行けば定期預金の金利は余りに低く、例えば中国の銀行の普通預金口座金利をも遙かに下回っている。
 政策的に金利を下げておいて金利が低いことを根拠に、窓口は投資を勧める。その安全性の根拠にしているのも、米信用格付け会社の格付けである。自社で自分で分析するのではなく、海外の営利機関のランキングを誇らしげに見せつける。そして損益が出れば、自己責任を言う。「説明したでしょう」と言うわけだ。銀行は信用格付け会社の格付けを利用したことの「自己責任」には決して触れない。銀行にとって信用格付け会社の格付けは、顧客を欺すには便利だ。もっと大きな責任は、米国に脅迫されて金融「自由化」に踏み切った政府にある。
 子どもの貧困率は、抜きん出て高い。(前回調査(2012年調査)よりわずかに低くなったことを根拠に、「アベノミクスで貧困が改善した」といい包めた。しかし、相対的貧困率は、全国民の所得の真ん中(中間値)を基準に、その半分の層を「貧困層」と定義し、全体に占める割合を示したもの。2012年から2015年の間に数値が変動したのは、中間層の所得が落ち込んだため、「貧困層」の割合も減ったように見えたためで、困窮の実態は変わっていない。むしろ、中間層が所得を減らし、貧困層は放置されたと言ってよい)。  働くものの賃金はOECD諸国中、日本だけが下がりっぱなし。大学の世界ランキングもアジア諸国にに水を空けられ続けている。

 便利な道具は、企業だけではなく政府の能力や責任感まで奪い去っている。 

 「都教委悉皆」研修、「大学入学共通テスト」の準備のための「思考力・判断力・表現力育成のための定期考査作成」講座は、巨大塾資本ベネッセに丸投げの講座だったという。参加者は都教委の劣化を感じさせる研修だったと言っている。さもありなん、しかし思考力や判断力を狙いとする講習が丸投げとは、冗談としては出来すぎている。(しかもこの「悉皆」研修に、「共通テスト」の受験者がいない高校などは呼ばれていないらしい。受験しない高校生らに思考力や判断力は要らないと教委自身が白状している。指示された事を従順に実行する事だけを期待されているわけだ。「限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえばいい」と言った三浦朱門の言い草は忠実に守られている。)
 文部科学行政自体が、塾資本に乗っ取られているのだからこれは教育の劣化ではなく意図的解体なのだ。塾資本本体が利潤を確保できるなら、公教育の解体崩壊は痛くも痒くもないに違いない。水道民営化を担う資本が利用者の健康や安全に関心はなく、水道料金値上げと経営陣の高額所得や再民営化時の莫大な違約金に意欲を示すように、塾資本は公教育を解体する過程で膨大な利益を狙っている。崩壊や格差が激しいほど短期的利益は大きくなる。第196回国会で成立した改正PFI法は、水道民営化だけを画策したものではない。

 部活指導の激務に疲れ果てる教師を救うふりをして、公教育本体を民営化し平教師を派遣労働者化することを狙っている。

   高機能を売りにする音声翻訳機が勢いを増している。カーナビの出現で我々の地理感覚が低下したように、
高機能声翻訳機の便利さで言語感覚は鈍くなり、母国語の劣化も誘う。
 幕末の蘭学塾の学習環境は極めて粗末であったが、多くの逸材を産んでいる。空気は適度に薄い方が、運動機能を高める。

 アマゾンの手軽さは画期的で、成長も著しい。2017年度の売上高が日本だけで1兆3335億円(前年比14.4%増)となった。そのうち出版物の売上げは5400億円を超している。しかしその裏側では「小田原の物流センターだけでも開設以来4年で、少なくとも5人が作業中に死亡している。

   外部の手軽で便利な機能に頼れば、我々は自らに備わる能力を放棄し、共同体に対する倫理意識も失う。
 戦争指導選良たちの幼稚で狂信的な現実感覚を産んだ「戦争紙芝居」も、手軽で便利な機能であった。←クリック
 

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