七品芝麻官 |
清朝も滅亡の危機に瀕して科挙を廃止した。以降留学が盛んになり、若者たちは文学や政治に目覚め、辛亥革命へと向かったのである。
過労死水準の受験勉強と部活が、「科挙」のように若者を狂乱させ、この島国の文化的学術的発展を阻害・圧殺しているのは確かだと思う。スクールの語源は「暇」である。文化的・科学的天才少年たちが、部活と受験対策に、あまりにも長期間追いまくられて、今日本の全ての分野は悲惨である。
僕が文教政策に強大な権限を持つと空想して、真っ先にやることの一つは、中学・高校二年三年生の午後、週に半分は自由選択か放課にする。任意の大学の任意の授業を聴講出来るようにする。 二つ以上の科目で大学生と同じ試験を受けて合格すれば、卒業を待って入学を認める。それ以外の高校卒業生にも大学の仮入学を認め、二年続けて一定数の科目で合格点を維持すれば学生としての資格を認める。この試験は実験や論文・口頭試問を含み、甘くない。大学ごとの卒業証書は廃止、転学は自由。そして入試全廃の準備に取りかかる、何歳になっても、大学で学ぶのは特権ではなく権利となる。予備校や塾では大量の失業が出るが、公教育の充実のために働いてもらえる。
これは、何かの水準を上げて、国際的な競争に目立つためではない。結果としてそうなるとしてもそれを目的とするのでは、文化と学術を汚すことにしかならない。
合わせて、学歴が収入を約束する仕組みも改める。「原発」に代表される業界を壊滅させるためには、「こんな不正は許せん」と内部告発して辞める人が続発する必要がある。現在も多くの専門家たちが、そう考えてはいるが、踏み切れない。「公益通報者保護法」がつくられても、機能しないからである。「勇気をもって告発しても、それが受け止められない。だから、言うだけ損な法律という認識があります」これは 千葉県がんセンターで腹くう鏡手術による患者の死亡が相次ぎ、危機感を持ち内部告発に及んだ麻酔科医師の言葉である。
干されても、首になってもある程度の保証があることが、告発を促す。そのことによって、不正に使われていた公金等がなくなるだけでも、失業者の生活を保証する財源を十分に補うことが出来る。
追記 フランスの失業給付は、何層にもわたって手厚い。一層目は失業保険であり、解雇された労働者を対象とし、勤続年数の条件を満たせば支給される。保険料は労使で分担、使用者が約6割を負担し、残りを労働者が負担する(現在、使用者負担4%、労働者負担2.4%)。現在、失業給付額は従前の賃金の約6割、受給期間は2年まで(50歳以上は3年まで)。支給額の上限も高く設定されている。この労使共同管理の失業保険は、失業者の4割をカバーしている。
2層目は失業扶助、国が管理し、一層目の失業保険給付の満了者などに対し、「雇用復帰支援」手当の名目で、給付がおこなわれる。期間は原則6ヶ月だが、更新も可能。
1988年からは、雇用歴の無い人を対象としたRSAと呼ばれる連帯給付が設けられた。このRSAは、原則的に求職活動をしているすべての人に支払われるので、失業保険制度の3層目とみなすこともできる。日本失業保険と比べると、給付水準が高く給付期間が長い。
更にフランスの最低賃金は、全国一律で、適用除外が少ない。その水準は、労働者の平均賃金の5割、中位数では約6割に達し、国際的に見ても非常に高い。フランスの最低賃金SMICの正式名称はSalaire minimum interprofessionnel de croissance(全職種成長最低賃金)、経済成長の恩恵を低賃金労働者にも分配する狙いがある。すべて闘い取られた成果である。
0 件のコメント:
コメントを投稿