メキシコ選挙で左派勢力が勝利

 僕は、サパタと共にメキシコ革命を指導し戦った天才的農民軍指導者パンチョ・ビリャが、蘇ったような気がした。
 保守政権下で、長い間新自由主義政策に苦しんできたメキシコの選挙(7月1日)で、左派連合のロペス=オブラドール候補の選挙連合、「共に歴史を作ろう」が、すべての選挙で地滑り的な勝利を収めた。この選挙戦の混乱を日本のマスコミは伝えたが、左派が勝利するや沈黙している。
 すべての選挙とは、大統領選挙、連邦議会上院、下院議員、8州と首都メキシコ市の知事選挙など史上最大の大選挙戦である。 

 アメリカとの貿易協定NAFTA体制下の新自由主義政策で、メキシコ社会の経済は停滞し、中小農業・企業は破壊され、食料生産は米国に依存、離職者は移民となるか都市スラムに流れ着き露天商となるしかなかった。貧困層は増え所得格差は拡大、麻薬組織が跋扈し殺人事件が日常茶飯事となった。このため昨年度の世論調査では、メキシコ国民の政党政治への信頼は中南米 18 カ国中、最下位となっていた。

 大統領選挙では左派のロペス=オブラドール候補(国家再生運動党 MORENA)の選挙連合、「共に歴史を作ろう」が、圧勝した。しかしすべてが、選挙公約を理解して投票したのではないと言われている。余りにひどい従来の支配政党にあきれたのである。 つまり、 新自由主義と NAFTA こそ、 今回の歴史的な選挙の生みの親と言え、安部政権の行く末を示すものだ。 
 地方選挙では、「共に歴史を」連合は、首都メキシコ市(初女性市長)をはじめ、 8 州の知事選挙では4州で勝利を収めた。
 またメキシコでは、今世紀に入り男女協同参画社会をめざしており、今回の選挙では国会上院議員、下院議員とも史上女性議員数が男性議員数を上回った。また新政府閣僚は、男女比 9対7 となった。
 大統領選の勝利集会の演説でロペス=オブラドールは、「独立革命(1810年)、メキシコ革命(1910年)、カルデナス改革(1934年)に次ぐ、第四の社会変革を平和で、暴力なしで行う。 これは真の変革で徹底したものとなる。汚職は社会的、経済的不平等、暴力の主要な原因であるので、汚職を一掃するのが第一の課題である」 と誓った。
 
 また、選挙公約に基づいて、
①汚職、石油の横領、選挙違反は重罪とする、 
水道の民営化を無効とする、 
③すべての公立学校を無料とする、 
④参加民主主義の観点から各種のリコール制度を設定する、 
⑤「倹約政府」 とするため各種の経費を削減する(大統領特別機の売却と商業航空の利用、高級官僚の特権廃止及び引退大統領の年金の廃止、大統領(半額)を含め高級官僚の給料の削減、米国からの 13億 1,400万ドルにのぼる戦闘用ヘリコプターの購入の解約)、 
⑥行政構造を縮小改革する、
⑦検察庁を大統領から独立させ厳格に汚職捜査を行う、
⑧地方自治を拡大し、全国にわたり均衡のとれた発展をめざす、などの政策を発表している。

 前途は多難は多くが予想している。だが、ブラジル、アルゼンチン、エクアドルの左派が政権を失ったり、革新性を失うラテンアメリカにおいて、左派勢力に変革への希望を蘇らせるものである。
 メキシコは、人口1億2900万人、GDP世界11位、石油生産は、 2017 1 900万トン、世界第 11 位、 埋蔵量は 72 億バレル、世界第 20 位。さらに、銀の埋蔵量が世界第2 位であり、銅の埋蔵量が世界第 3 位、鉛と亜鉛は第 6 位、モリブデンは第 8 位、金が第 11位である。
 だから米国が支配したがるとも言えるし、力強く自立する可能性もある。

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