多数決とコンセンサス

 「民主主義は全員のコンセンサスは無理だから、そのときは多数決で決めてゆく。決まったことに皆がそれに従ってゆく」2020.6.20 これは安倍晋三が、橋本徹のnet番組で述べた言葉。
oxford市議員に報酬はない

 僕は、高校のHRで多数決を提案した事は滅多にない。

 特に文化祭のクラス参加を何にするかについては。劇や喫茶店、お化け屋敷、団子屋、ヨーヨー釣り・・・。どの提案も、数票差のドングリの背比べ、多くても10票に届かない。たとえ最も得票した劇でも、クラスの30人以上は他のことをやりたいと考えている。多数決は不満をたかめ意欲を減じる。相対多数では、僅か20%の得票でも総取りを許す。

 僕は「現代社会」の講義で多数決が如何に危うく不安定な仕組みであるかを、具体的な例で考察してきた(国連の専門機関の一つ国際電気通信連合は、1865年パリで設立された世界最古の国際機関。一国でも強い反対があれば、コンセンサスがないとして提案は採択されない。これがこの最古の国際機関が長続きしている所以である)。   

 文化祭のクラス参加を何にするか全部の集計か終わった後、「みんなの提案を全部生かすやり方はないか」ともちかけた。例えば、教室を小劇場にして舞台を一方に、反対側や角には喫茶や団子のコーナーも設ける。お化けや手品にこだわる者には、舞台の合間に活躍させる。と言う具合だ。そうすると提案を撤回して他に合流する者も現れる。予算は限られるから、工夫は大変だが面白い。
 多数決原理による民主主義は、勝者がすべてを独占するという点でファシズムを内包している。対してコンセンサス=合意形成的民主主義は、できる限り多くの観点を保持する。少数民族や社会的弱者と共に生きる決意がある。
 こうした合意は、組織が小さいほど形成しやすい。←クリック
   少年少女がこうして教室のコンセンサス作りを経験することは、とても重要だと思う。安倍政権のようにコンセンサスに向けた取り組みを蔑ろにする政府の下では不可欠だ。投票者の過半数すら得票獲得出来ない政党が、有権者の3割の支持もない政党が、7割以上の議席を占拠する危うさを知る必要がある。

  多数決主義の国(日本・アメリカ)では、無闇に議員報酬が高くなる傾向がある。  試しに議員報酬を比較したことがある。←クリック 

    国    報酬額(単位ドル)    国民一人当たりGDP   
    1    日本      201,800       38,440   
    2    米国    174,000        59,501   
    3    韓国      105,000        29,891   
    4    ドイツ    102,600        44,550   
    5    英国      91.200       39,735


 英国下院の議員報酬は2019年度、年収79,468ポンド(約1,060万円)各種手当が加わる。手当に関しては専用インターネット上で詳しく公開される。スタッフ人件費、住居費などの上限が定められている。国民の誰もがどの国会議員がいくら手当をもらっているのか、カテゴリー別に一目瞭然、不正や浪費はできない。国会議員一人につき、平均で年間166,000ポンド(約2,200万円)かかっている。イギリスの下院議員の報酬と手当を合計すると一人あたり約3,260万円と、日本の議員の半分。 上院は伝統的に、無報酬制。
  では英国の地方自治体議員の場合はどうか。地方議員も報酬はない。僅かな手当はあるが、人口15万人のオックスフォード市の場合、基礎手当が年間4600ポンド(約60万円)、特別責任手当は1万1503ポンド(約150万円)、世話手当は1時間7・5ポンド(約1000円)にすぎない。そのため昼間働く地方議員も多く、委員会や地方議会も夕方から夜にかけて行われることが多い。従って議会傍聴には労働者や学生も参加できると言う利点もある。
 議員の行動は公費や支援者たちの政治献金に支えられるだけでなく、様々な特権に繫がり不正の温床にもなる。従って金銭の出入りは、一円に至るまで゛主権者に対して公開する必要がある。書類を裁断したなどと言う隠滅行為は極めて重い犯罪である。


 たった一円の領収書不備で、議員資格を失う制度が民主主義を支える。フランスでは閣僚が知人の不動産業者から、別荘地の分譲の便宜を受けたと言う疑いをかけられただけで自殺している。(彼は値切ったりなどしていない)

   

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