ガンジーは英国の戦争に協力して何を得たか     「善意」で受験競争を煽るの愚

 
「道を学ぶことは人を愛することにつながらなければならない」
 英国外交官が孫中山に「中国が第一次大戦に参加すればドイツから青島を奪い返せる」と、唆したことがある。苦境にあった指導者につけ込んだのである。しかし先ず孫文は、英国がかつてインドやビルマを盗り今チベットを狙っていることを非難、中国を統一したら必ずイギリスから香港を奪い返すと宣告。外交官を恐れ入らせ「私が中国に生まれていたら、あなたと同じように行動するだろう」と言わせている。
 この時英国は、インドに将来の自治をえさに大戦参加をもちかけている。ガンジーはこれに応じ、120万のインド兵と物資を投入した。にもかかわらず約束は反故にされ、大英帝国はローラット法とアムリットサル大虐殺を以てインドを弾圧。
 英国はドイツ植民地奪取を目論み、引き替えにインドの独立を匂わせたのである。ガンジーはこれにのった。同時に中東を巡ってはアラブ人とユダヤ人を同時にペテンにかけ、現在に至る世界の混乱を招来させているのである。 日本も日英同盟と英国の要請を口実に大戦に参戦、中国や太平洋におけるドイツ権益を略取している。

  貧困と成績低迷に苦しむ生徒に対して親切丁寧に校外補習を施す組織、そして彼らを賞賛するマスコミに、僕はこの慇懃無礼極まる英国外交政策に似たものを感じる。勿論学力をつけるのは悪くない、それ自体権利である。問題はそれを貧困の連鎖と結びつけることだ。英国が独立それ自体を勧めるのはいい、しかし戦争参加と結びつけるのが間違っているのと同じではないか。貧困の連鎖は、それ自体として、つまり労働条政策、社会保障政策によって実現しなければならない。
 苦学生に向かって、君も受験戦争に参加して誰か一人を蹴落とさないかね、そうすれば君は貧困の連鎖から逃げられる、先ずは眼を閉じて誰かを蹴落としなさい、と説く。それは英国が印度を騙した手口と同じであることを看破しなければ、貧困の連鎖は決して無くならない。
 政策が貧困を放置・深刻化し続けていることの責任には少しも触れず、成績と貧困が直接の因果関係があるかの如く結びつけられている。
 如何なる経済環境に育っても平等な教育を保証する、それが国民の教育権思想の根幹である。権利行使によって如何なる不利益も受けないのでなければならない。下位のものは低い所得を受け入れざるを得ない状況に眼を向けなければならない。上位の者が特権を独占することと同時に問う必要がある。
 順番が狂っている。教師がそのことに反射反応しないとは・・・。仕組みをまず壊さねばならない。
 孫文は、武力侵略行為の有無を独立の要件にする大英帝国の非文明野蛮を、英外交官に突きつけられたのである。彼にはそれを恥じる教養はあった。
 我々は点数成績低迷に苦しむ生徒に、受験戦争参戦を煽り賛美しているのだ。
 貧困を産み出す仕組みそのものとの闘いを回避する言い訳としての善意の補習。なるほど前者は共謀罪の対象であり、後者は政権協賛の幻術である。

  自らの安寧のために占領軍に沖縄を差し出したおぞましい過去を、この国の支配者は持っている。日本列島そのものを浮沈空母として提供して恥じない政権まであった。いま日本の政権は、せっせとアメリカの戦争政策に協力を惜しまない。
 独立の概念が未だに無いのである。理念もない。従って外交は従属か支配しか想像できない。孫文のように外交による平和と独立を実現するには、先ず自立しなければならない。

追記  荻生徂徠は、仁とは心のことではない、その日暮らしの細民を食えるようにすること、正業に就かせる、そういう社会的定義を仁に与えている。朱子学が慈悲などを持ち出して、こころの問題にするのを『政談』で厳しく批判している。18世紀はじめのことである。

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