「流言飛語」の言いがかりで禁固刑

岐阜・畳職・52歳――「こんなに働くばかりでは銭はなし税金は政府から絞られるし全く困ってしまった。それに物価は高くなるし仕事はなし、上からは貯金せよといって絞り上げる。実際貧乏人は困っている。よいかげんに戦争なんか止めたがよい。兵隊に行った人の話では全く体裁のよい監獄じゃそうな。兵隊もえらいしええかげんに戦争は止めたがよい。日本が敗けようと敗けまいと又どこの国になっても俺はへいへいといって従っていればよい。日本の歴史なんか汚れたとて何ともない。」(陸軍刑法第99条違反で禁錮6ヵ月)
福岡・理髪業・31歳――「皇軍兵士が戦死する場合無意識の間に天皇陛下万歳を叫んで死ぬ様に新聞紙に報道されているが、それは嘘だ。ほとんど大部分の者は両親兄弟妻子恋人等親しい者の名前を叫ぶということだ。」(禁錮5ヵ月)

 どちらも憲兵による弾圧である。
 1965年6月、米軍機がハンセン病療養所を爆撃、患者112人が死傷。8月には病院・結核療養所・師範学校などに無差別攻撃を加えた。また爆撃時に毒ガスも使用していた。
 この事実を現地で確かめ「「米軍が北ベトナム・クインラップのハンセン病病院を爆撃したことは、北ベトナムの撮影した記録フィルムから見て事実だ」と、大森実記者は1965年10月3日毎日新聞に記事を書いた。
 直ちに駐日米大使ライシャワーが「共産主義・警察国家の口車に乗せられた宣伝的報道」と流言飛語扱いをしたのである。
 なにが「流言飛語」なのか。禁じられ弾圧されたものこそ事実である。真実を語って禁固刑であれば、嘘を強制したものは極刑でなければならない。日本の敗戦総括はその過程を忘れ、誤魔化した。

 民主的政府は、真実を擁護し「流言飛語」を事実を以て反駁しなければならない。「在日特権」なる「流言飛語」が流布された時、官房長官は政府の声明責任者として、それが存在しないことを断言しなければならなかった。放置し続けることによって彼らは捏造に加担する。それは、社会科の教師にも言えることである。

 虐め自殺の情報が学校や教委から発表されるとき、その大方は事実からほど遠いという点で捏造である。志布志事件は警察ぐるみの犯罪捏造であることが、すでに裁判でも明らかになったが、捏造した当人たちの逮捕捜査は、未だにない。選挙のやり直しもしていない。
 戦前、選挙無効の判決が下ったことがある。1945年の鹿児島2区選挙無効事件である。翼賛議員同盟側の候補を当選させるために、政府・軍によるあからさまな干渉・妨害が行われた。大審院判決は「自由で公正な選挙ではなく、規定違反の選挙は無効となる旨を定めた衆議院議員選挙法第八十二条に該当する」として選挙の無効とやり直しを命じたのである。
 志布志事件は、国会自身が立法によって選挙無効を宣言すべきであった。       
 官製「流言飛語」は苦い過去や遠い世界の話ではない。共謀罪がそれを日常のものにする。

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