10代 稲嶺(基地反対)37% 渡具知(基地賛成)63%の憂鬱

 名護市長選に於ける年代別投票動向を、沖縄テレビ出口調査がまとめている。

10代 稲嶺37% 渡具知63%
20代 稲嶺38% 渡具知62%
30代 稲嶺39% 渡具知61%
40代 稲嶺41% 渡具知59%
50代 稲嶺38% 渡具知62%
60代 稲嶺65% 渡具知35%
70代 稲嶺68% 渡具知32%
80代 稲嶺67% 渡具知33%
90代 稲嶺86% 渡具知14%

 名護市長選では、基地反対を旗印に闘う稲嶺陣営に対して、渡具知陣営は争点は経済活性化と偽った。結果は詳細において衝撃的だった。
 この国は沖縄に、70年間も他国軍基地を強いてきた。沖縄県民に何の相談もなく出された「天皇メッセージ」の犯罪性は計り知れない。沖縄と人々を恰も倉の中の私物のように占領軍指令官に献上したのである。彼は人間宣言した筈なのに、主権者を人間扱い出来ない。彼の中では「人」とはどこからどこまでを指していたのか。そもそも君主制とは、君主を「人民」から隔離する事から始まるとすれば、彼が沖縄県民を「人」扱い出来なかったのは当たり前だった。

 政権は、返還後もその事実を詫びようとはしなかった。そればかりか、「素直に基地建設に賛成せよ。見返りは考えよう。逆らえば、締め上げる」 ヤクザも顔負けの脅しである。これは、沖縄人には日本国憲法上の「権利はない」と、重ねて通告したも同然。「選挙が日本にはある、中国や北朝鮮とは違う」と言いながら、「言うとおりにしなければ、ただじゃ措かない」と言うのでは、選挙権はない事になる。気に入る結果がでたときだけ、選挙を認める。そんな無茶はない。
 選挙権がない区域を、植民地又は保護領と言う。核大国に従属した国の、その又植民地として扱われている。こんな屈辱があろうか。

 沖縄テレビ出口調査結果は 「18歳19歳選挙権」騒ぎが何だったかを如実に示している。模擬投票は何を「教育」したのか。

 管理主義全盛の頃、ある地方中学の修学旅行で新幹線を使うことになった。完璧好きの担任が、教室内に机や椅子を並べ替えて、車両の乗車口らしき場所をつくった。一列に順序よく「乗る」練習をするのだ。謂わば「模擬乗車」、生徒たちはあきれて笑う。担任は「まじめにやれ」と怒り拳骨を食らわす。この担任は、あらゆる事を事前に覚えさせる事を「教育」だと思っていたのか。デパートでの買い物の予行も、結婚式の予行や初夜の予行も、この男はやりかねない。

 模擬投票で、民主政治と投票についての従来の学習を超える何かをやったつもりになってはいないか。選挙公報や新聞の政党別公約早見表を見れば、いい投票が出来ると本気で思っていたのか。
 高校で一体どれほどが、ビエケス島の反基地闘争を学んだのだろうか。東京の高校では、衆院選で一体どれほどが、基地問題を投票の基準に入れたのだろうか。AKB総選挙に意識を盗られず、自分一人の判断で、国会前集会に向かった若者はどれほどあったか。 

 取締役会の決定に反しない限りの労組、職員会議の決定内での生徒会活動、上級官庁の意向に反しない限りの自治行政、内閣府見解を逸脱しない限りの報道、文科省見解内の学問、・・・これは既にfasismである。

 若者の学校や地域の日常生活に於ける、政治的要求の自覚が必要である。そして要求の集中・集約、分析、啓蒙・宣伝、集会、交渉、ボイコット、座り込み、ストライキ、デモ行進などを自ら積み上げてこそ、政治的主体としての青少年が現れてくる。そのためには、詰まらない授業や行事をサボり、体罰や処分に反抗する日常に向けて生徒たちを解放しなければならない。
 長い間我々教員は、自治指導も教員の職務の範疇だと自惚れていた。その結果の衝撃的な一つが、名護市長選に於ける若者の投票動向に表れている事を自覚しなければならない。そして我々は、政治・哲学・歴史・経済教育に熱中して、生徒たちの現実を見る目と頭脳を明晰にしなければならない。いや、その前に教員自身の知性を鍛え、覚悟を明確にしなければならない。

 模擬投票のお行儀に満足している場合ではない。

 敗戦直後の何もない頃、いかに日本の高校生が行動的で政治的だったか思い出そう、例えばこれ。←(クリック)

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